解離性同一性障害の当事者の記録

主観的な、DID患者としての日々の徒然です

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

芸術療法〜(16)ランドスケープ

景観ではなくランドスケープとしたのは景観はやや眺める側の視点や抒情を感じさせ、ランドスケープは景観を構成している特定の建物、道路、植物、人物等、それ自体に焦点を定めていると思うからである。 それでも今書こうとしているのはわたしにしか見えない…

芸術療法〜(15)切妻造

平入りという。切妻の斜め屋根の軒下に出入り口のある家のことである。京町家。長屋。数世帯が軒を連ねる。 わたしが憶えている平入りのその古い家は隣との仕切りは壁一枚であった。子ども時代、真夜中壁一枚挟んだ隣家で若い女が繰り返し殴られる騒動を聞い…

芸術療法〜(14)屋根

屋根を描くことに兎にも角にも手を付けた。いつ頃からだろうか。ある時わたしは屋根を見ていた。立ち止まり屋根を見たのだ。その日から今日まで、脳内には膨大な数の、わたしがこれまでに見た沢山の屋根メモリーが存在している。 わたしは何故それほどまでに…

芸術療法〜(13)明暗

精神科とは精神病院のことだが精神病院という言葉の響きはとても重い。単にそれは言葉の持つ印象であるがこの4文字に重厚な悲劇的イメージをわたしは抱く。 このところ芸術療法などと格好良い呼び名をつけて文章を垂れ流しているが要するにわたしという個人…

芸術療法〜(12)色

万年筆で描くことにこだわるのは何故だろう。万年筆が好きな理由をああでもないこうでもないと考えている。ペンという語の語源はラテン語で羽根、ペンナという語であるらしい。わたしは鳥の羽根ではなく金属のペン先で描いているけれど。 ペン描きには不備が…

芸術療法〜(11)空間

1月から月に2回声楽のレッスンに通っている。レッスンとレッスンの合間は自宅のリビングで1日に数回細切れの時間ひとり声出しレッスンを繰り返している。 声楽教師からその週に出されるわたしへのコマンド。それをクリアする。コマンドはそれほど多くはない…

芸術療法〜(10)律動

リズムという言葉は軽い。リズムでは良いと悪いとのどちらかになりますでしょう。良いか悪いかを見極めんとし、長いあいだわたしは目を凝らして物を見、耳をすましてじっと潜んでいた。 わたしは自分が見えている共同世界に含まれているとばかり思いこみ、わ…

芸術療法〜(9)形

編みビーズをはじめた。2号のテグスで2㎜のビーズの1㎜のビーズ穴を通す決まった単純作業の反復。4つのビーズを組み上げその四角を3×3すると四角ができあがる。 点を繋げてゆく。湾曲するテグスを一定の角度でそこにあるビーズに納めて進むのだ。ビーズはテ…

芸術療法〜(8)反復

数日前から江戸時代の絵師若冲の図録を模写している。若冲は八百屋だったので野菜や家禽を描いた。昨日から群鶏図を描いている。たくさんの鶏の頭を赤く色付けする作業はたいへん楽しいです。 色付けは軌跡を辿るのに似ている。何も考えずに塗り絵をする。物…