解離性同一性障害の当事者の記録

主観的な、DID患者としての日々の徒然です

芸術療法〜(28)人形を作る

大量のワイヤーを頂いたのでワイヤーを骨にした人形を作った。昨日は這い熊を作った。這い熊というのは四つ足で踏ん張る野性味のある熊のデザインのことで、木彫りの熊デザインのひとつ。

最初に作ったのは二足歩行をする兎の人形だが大きな蝶ネクタイを付けてニッカボッカをはいているから厳密には骨格は兎ではなくヒトである。顔の2倍以上の大きさの耳を頭のてっぺんに載せた。

この奇妙なバニーを作るのは大変楽しい作業だった。肩幅はこれくらい、膝下と踵。何も考えなくよい。何しろ鏡で自分の顔を見るより多くの回数わたしはこのバニーを脳内で目撃しているのだ。

ワイヤーで作った肋骨の輪郭にアルミ箔を載せて手でぎゅっと押してワイヤーとアルミ箔を密着させ、そうして出来た面に塊の紙粘土を大胆に貼ってゆく。腕と脚は極細だけれどお尻はふんわりとさせる。

松竹座の役者が大見得を切るときのように威張っている姿勢で完成させた。もう一体作ろう。作り始めは細いワイヤーを緩く縒り合わせる作業が続く。縒り合わせたワイヤーは自然なカーブを描いてくれる。

紙粘土を付ける前にわたしはまたしてもワイヤーを縒り始める。もう一体作ろう。今度は少し小さめ。幼かったころのこのバニーを作りたくなった。耳も小さめ、手脚も若干短く。小さな体にあつらえた子ども用のニッカボッカを履かせる。

紙粘土を付ける前のワイヤーバニーたちにいろんなポーズを取らせてiPhoneで写真を撮る。楽しいではないか。木彫に比べワイヤーと紙粘土の人形作りはなんだか気楽な雰囲気である。

力つき眠った翌朝目覚めるとワイヤーバニーたちが壁で踊っていた。アートだ、これはアートだと主人がピンで貼ってくれたようである。そういうわけでワイヤー這い熊君を作ったのだが何も無かった壁が賑やかになった。踊るバニーと熊人形である。