解離性同一性障害の当事者の記録

主観的な、DID患者としての日々の徒然です

芸術療法〜(25)気象

天気図というものがある。ラジオから流れる数字を一覧表にせっせと記載する。終わったらそれを地図に記してゆく。風向は音符の羽根みたいなやつで風力気圧は数字をそのまま書く。

等圧線は大体この辺りかなというところにフリーハンドで緩やかな線を描く。こんな感じですか。わたしが提出した天気図を理解の教員はとても褒めてくれ、わたしはそれが嬉しかったのか天気図を描くのに夢中になった。

等圧線と等高線はすごく似ているが等高線と違い等圧線が示した高い低いは空を眺めてもまるで見えない。前線を描く。ここは嵐になりますよ、という三角のギザギザの線である。やはり前線も天気図上の印である。わたしはまだ空に前線を見たことがない。

思いつくまま、白い便箋にオリジナルで模様を描く。ある日それがいつかの等圧線にそっくりだと気付いた。北北東に若干張り出し気味の曲線が緩やかに南下し真南で何かを吐き出す。方向転換。南西に掛けて大きく湾曲した線はすごく自然に始まりの地点で合流する。

ここは風が吹いている。ここで急に温まって雲が発生する。重い線。速い線。わたしは空を見上げる。空には何も見えないが気象が存在しているとはなんと不思議な。白い便箋の万年筆の渦巻きは実は風と雲なんである。