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解離性同一性障害の当事者の記録

主観的な、DID患者としての日々の徒然です

芸術療法〜(24)顔

最近自分の顔を鏡で見ることが増えた。わたしは発声が暗いらしい。もっと明るいアの音を、イはイーとハッキリと。友人の声楽教師は鏡を見ながらやってみてと言った。

鏡の中には不自然に口角を上げた志村けんみたいな人がいた。そうじゃない、顎を引くの、友人が言う。そうそれから肩の力を抜くの、それでイーって言ってみて。言われた通りにやってみるのだが声などひとつも出ない。

顔を作ることと声を出すことが両立出来ない。耐えきれなくて目を閉じてイー。ううん違うの、首に筋を立てないで、ねえ鏡をちゃんと見て、肩甲骨に窪みが出来てる。鶏じゃないんだから。

友人も必死だがわたしは何を間違ったのか。やればやるほど正しい顔というものからは遠ざかっていくように思えた。

真面目なわたしは帰宅後も顔を作ることに熱心だった。iPhoneで自撮りをする。少しでもいい顔だと思えたら撮る。何枚も撮った。なかなか良い。悪くない。何枚かの自撮りを娘にLINEした。すると娘の1人はわたしの自慢のアルカイックスマイルを人をひとり殺してきたような顔だと言った。

気を取り直してわたしは自撮りを続けた。殺してない、そう声に出してみる。あたし誰も殺してない。すると肩の力がすっと抜けた。殺してないかそれは本当か?首の筋が消え口角はさらに上がった。これ怖い顔やけどこれがきっとあたしの顔。わたしはちょっと嬉しかった。