解離性同一性障害の当事者の記録

主観的な、DID患者としての日々の徒然です

芸術療法〜(22)青色

浮世絵の刷り師たちは紺が高価だったのでオランダからの輸入の鉱物の青を用いたという。浮世絵は日本ではありふれた紙切れだったがある日浮世絵が割れ物の緩衝材として荷物に詰められていた。それはくしゃくしゃに丸められていた。浮世絵はいわば漫画のような線画である。そのフランス人は浮世絵を丁寧に広げて長いあいだ眺めた。

青色が好きで色鉛筆の青がすごく減る。子ども時代群青色という呼び名を覚え一日中群青色群青色と言って歩いていた。群青はその色と呼び名の響きがピッタリ合っていた。

縹(はなだ)色という色を覚えたのは大人になり草木染めを教えてもらったときだった。薄い青色は陽に当たるたびに退色した。縹というその青は誰の言葉も聞かずひたすら消えてゆこうとする青だった。

初めて海に潜ったときの海中も青かった。そこは洞窟の中だったのでそれは空を映している青ではなく水温が低くプランクトンが少ない特殊な海の青だ。マリンブルーはわたしの手や体が染まりそうな青だ。

背景として塗るときの空の青は明度が高く彩度は低い。空色と青空では言葉の持つ色の印象が少し違う。青空。青空。わたしの青空貴方の青空。空の青というものはじっさいに空を見上げなくてもいい。目を閉じてもそこにある青だ。