解離性同一性障害の当事者の記録

主観的な、DID患者としての日々の徒然です

芸術療法〜(9)形

編みビーズをはじめた。2号のテグスで2㎜のビーズの1㎜のビーズ穴を通す決まった単純作業の反復。4つのビーズを組み上げその四角を3×3すると四角ができあがる。

点を繋げてゆく。湾曲するテグスを一定の角度でそこにあるビーズに納めて進むのだ。ビーズはテグスを待っているし一方テグスはビーズを繋ぎたく。楽しい。なんて楽しい。

昨日街へ出てふらりと入った古書店内の棚を念入りに調べていたらびっくりするようなものを見つけた。30年前の日本でのFLライト展の図録だった。千五百円。速攻購入した。

FLライトの作った建物は歪で頭がくらくらするけれど昨日図録をパラパラしながら彼の描く絵を初めて見て建築家FLライトではない、なんだか他の誰かに出会った気がした。初期のフリーハンドのドローイングはお世辞にも上手とは言えない。

彼は何故建築家になり、仰々しいお金持ちの家などを沢山建てたのだろう。魅惑的で奇妙で一目で夢中になれる不思議な景色なら重たいコンクリートで立ち上げなくともそこら中に有る。

わたしは明治村の帝国ホテルの展示以来のFLライト嫌いだったはずだが古書店の図録のドローイングを見続けていたら彼の混乱に、矛盾に、作為に満ちた反復する線の交差に魅了されていった。

とどまることなく流動する形。スクエアビーズのフラクタルを今日も増殖させようではないか。水平線の両端をテグスで繋ぐのだ。