解離性同一性障害の当事者の記録

主観的な、DID患者としての日々の徒然です

2016-06-14から1日間の記事一覧

そして精神病院へ通い始めたころのこと

脳への刺激を避ける。車のクラクションと町の喧騒。甲高い話し声と絶え間無く続くテレビコマーシャル。そういうもの全てが我慢ならない。 主人とわたしは3人の娘を連れて転居した。知人のつてで山に近い場所の一戸建ての借家を借りて移り住んだ。 当時わたし…

35歳〜DID患者になるまで②

ナルコレプシー? 二人目のわたしの主治医もまた内科の開業医であった。年齢はわたしの一回り上。彼はスキーの上級者であった。初診日、彼の右腕は肘から先がギプスで覆われていた。雪山を滑っていて滑落、骨折したという。 転院して間も無くわたしは高熱を…

35歳〜DID患者になるまで

調子はどうですか? 仕事を辞めたころこんな風に挨拶されることがよくあった。この日本語のニュアンスは明解。どこか悪い所は無い?である。もっとわかりやすく言うと普通じゃない感じ。大丈夫? 変な感じになって無い? 解離性同一性障害としてのわたしの不…

わたしが9歳のころのこと

いつか読んだことがある。その小説の主人公は鏡を見るのを酷く怖がるのだ。彼は鏡を磨くことがない。 わたしは子ども時代から掃除が好きである。掃除は母に命じられたわたしのゆいつの仕事であった。朝起きる。服を着替える。雑巾代わりのボロ布を流しで濡ら…

DID患者は自殺しやすいか

DID患者の自殺は少ないと言われているが全く無いわけではない。希死念慮と自殺企図では死にたいと感じている状態から一歩踏み出して命を断つ行為に及ぶという違いがある。 わたしは診断直後のころに大量服薬をして外出し路上で意識を失い救急搬送されたがこ…

脳内マッピングとはどんなものなのか

2011年3月11日、東日本大震災があった時わたしたちは主人の転勤先の埼玉県で暮らしていた。電気ガス水道。電車。交差点の信号機。普段ならばあって当たり前のものが止まった。 緊急避難袋を今でも定期的にチェックする。とりあえず必要なものを二泊三日くら…

主人格とは誰のことなのか

DIDの本に「主人格」とあり、主人格はその他の人格をコントロールする、ゆえに主人格であるわけなのだが、実のところわたしの場合この主人格がいったい誰なのかがわからない。 2000年の10月、多重人格の疑いとなり精神科治療が始まった。手に負えない心身の…

交代人格とはどんな感じなのか

多重人格の最たる「あるある」それは交代人格なるものであろう。今日はこれについて「わたしの場合」を書きたい。 わたしは友人に自分が多重人格障害であることをそれほど話してはいない。それほどというのは話していたり、話していなかったりである。ちゃん…

大人になっても困ること〜虐待の再現と虐待者を理想化すること

虐待を再現する行為は指摘されなければ自覚出来ない。わたしは大人になってからも被虐待児になり易い。権威に支配され管理され言いなりになる。そうした力動を理路整然と説明出来るなら困ったことにはならないし、まあそれならセラピーへ通う必要もない。 わ…

大人になっても困ること〜感覚鈍磨

たいていの人間は晴天を好むものだがわたしは曇り空が好きで鈍い灰色の切れ間の無い分厚い雲を時間の経つのも忘れるほど長い時間見入っているときがある。 曇り空はわたしの脳への刺激の低い優しい色合いだからだ。西から東へ。南へ北へ。360度の曇り空に心…

DID患者とはどんな感じなのか

柴山雅俊は”表象の並列化”としてこれこそが解離の基本となる障害だとして書いているが、パトナムの本では”文脈(コンテクスト)のない情報を開示してくるやり方で患者は治療に抵抗する”とあり、この2冊は合わせて読むと非常に合点がいく。 ”表象の並列化”とい…